雲浜小学校の先輩たちが書き残した「とんび物語り」を発見しました ここに紹介します  
   

 と ん び 物 語

〜 雲浜小学校のそばのアニマルストーリー 〜

 

記録・構成/雲浜小学校5年生(1994)

                              

(1)ここは小浜

 白い灯台の向こうから吹いてくる風

 ハマナスが咲き誇り

 波の音が聞こえる浜辺

 ぼくらの学校はここにある

 雲浜小学校

 

♪ 秋は古城の空高く とんびは輪をかく 悠々と

 ああ 雲浜の わたしらも

 とんびのようにあせらずに 学習の道進もうよ

(雲浜小学校校歌 3番より)

 

 

(2)校庭に面した校舎のそばに一本の木がある

 ヒマラヤ杉だ

 天に向かって緑の枝を伸ばしている

 

(3)四月の終わりのことだった

 この木の高い枝にとんびが卵を生んだ

 三つの卵が巣の中にあるのを見つけた

 お母さんとんびが一生懸命卵をあたためている

 ちょうど三階の音楽室からそれがよく見える

 ぼくらが歌を歌っているときも

 とんびのお母さんはずっと巣の中でたまごを抱いている

 

♪とんびの赤ちゃん  詩/曲.雲浜小学校5年生

 とんびの赤ちゃん 生まれたよ

 とってもちいさいひなだよ

 とんびの赤ちゃん こんにちは

 かわいい ひなだよ

 

 とんびの母さん がんばったね

 かわいい赤ちゃん おめでとう

 これからぼうやといしょだね

 おうえんしてるよ

  

 

(4)五月の初めの頃だった

 ヒマラヤ杉の下にひとつの卵が落ちていた

 みんながおおさわぎしている

 五メートルもある巣から落ちたのだからひとたまりもない

 卵はわれて中に生まれる前のとんびの赤ちゃんがいた

 血まみれになって死んでいた

 もう羽もくちばしも出来ていた

 生まれる前に死んでしまった小さな命

 どうして落ちたのだろう

 だれかがいたずらで落としたはずもない

 お母さんがあやまって落としたのだろうか

 風が吹いて落ちたのだろうか

 何も分からない

 この頃は小浜の港もあまり漁がなく魚があがらないから餌があまりない

 育てられるひなの数は親が知っている

 お母さんはそのことを考えて卵を落としたのだろうか

 いや、親がそんなことをするはずがない

 

 

(5)五月の連休が終わったころだった

 音楽室からのぞくととんびの赤ちゃんが生まれていた

 巣の中でよちよちしているかわいい赤ちゃん

 毛はまだはえかけで頭もはげぼうず

 

 何者かの気配を感じたとんびのお母さんは

 きつい目でこちらの方をにらみつけた

 そして自分の腹の下にあかんぼうをかくした

 しかし身の危険を感じたのかバタッと大きな羽を広げたかと思うとさっと飛び立った

 巣の中ではお母さんをさがすとんびの赤ちゃん

 お母さんとんびは決して逃げた訳ではない

 ヒマラヤ杉の回りをぐるぐると回りながらとんでいる

 赤ちゃんをうばおうとする敵がいたらいつでも攻撃できる構えである

 カーテンをしめてそっとしておくことにした

 

 

(6)音楽の時間に僕たちはとんびの歌を作った

 みんなで詩を書き曲も自分たちでできた

 

♪(とんびの赤ちゃん)詩/曲.雲浜小学校5年生

 とんびの赤ちゃん 生まれたよ

 とってもちいさいひなだよ

 とんびの赤ちゃん こんにちは

 かわいい ひなだよ

 

 とんびの母さん がんばったね

 かわいい赤ちゃん おめでとう

 これからぼうやといしょだね

 おうえんしてるよ

 

 

 ♪「とんびよ輪をかけ」詩/曲.雲浜小学校5年生

  どこまでもつづく 空の上を

  とんびはいつも 輪をかいている

  ピューピューうねる風

  ピューピューう空を舞う

  まるで空に落書きしているように

 

 大きくなってこの巣から飛んでゆく日はいつだろう

 ぼくらは楽しみに見守っている

 

(7)巣の中には魚がときどき乗っていた

 お母さんとんびがくわえて運んできたのだろう

 とんびの赤ちゃんは日に日に大きくなっていった

 大きな口をあけてピューピューと鳴くようになった

 みんながときどきカーテンの間からのぞくと

 親鳥はやっぱりぱっと飛び立った

 しかし前のように木の回りを飛ぶことも少なくなった

 三十メートルほど離れた校庭の一角にある国旗掲揚柱のてっぺんに止まってじっと

 こちらの様子をうかがっている

 六月十日、ひながかえってからちょうど一ヶ月ほどたった

 見違えるように大きくなった赤ちゃん

 もう赤ちゃんと呼ぶにはふさわしくないりっぱな鳥になっている

 羽根もしっかりしてきて、ときどきバタバタとはばたきの練習をしている

 くちばしや目も鋭くなってきた

 「ああ、ぼくもお父さんやおかあさんと同じようにはやく空をとびたいな。」

 もうすっかり親鳥と同じような姿である

 しかしまだ巣からは飛び立とうとはしない

 いつ飛び立つのだろう

 ぼくらはその日が楽しみである

 

 

(8)六月二十三日、とんびのぼうやが巣から飛び立った

 生まれてから五十五日のことだった

 まだぎこちないはばたきだがしっかり空に飛び上がった

 梅雨の空がうすぼんやりしている夕方のことだった

 いつもの国旗掲揚柱の上からお母さんとんびが見守っている

 一度巣から飛び立ったらもう自分で餌もとらなければならない

 

(9)六月二十四日、松ノ木の枝に止まっているとんびを見つけた

 あのとんびである

 梅雨の雨にうたれてい休んでいる

 初めて空を飛ぶのは勇気がいるだろうな

 一人前になるまでにはまだずいぶん時間がかかるのだろう

 親鳥はまだ遠巻きに見守っている

 とつぜん母さんとんびが舞い降りてきた

 こどものとんびの止まっている枝の少し上に止まった

 どうするのだろうと見ていたがしばらく様子をうかがっている

 とんびのぼうやが枝のさきの方に移動した

 ピューピュー、お母さんとんびを呼んでいる

 体は大きいがまだまだ子供である

 お母さんを呼ぶ声はあまえている

 お母さんとんびがぼうやの枝に舞い降りてきた

 二羽のとんびが止まったので枝がゆっさりとした

 お母さんとんびの口に何かキラリと光るものがある

 魚だ

 ぼうやにあげる餌である

 ぼうやの口にその魚を渡すと

 ぼうやは三回ほど、ぱくっぱくっと口を動かして魚を飲み込んだ

 よほどおなかがすいていたのだろう

 ぼうやが魚を飲み込んだのを見届けると

 お母さんとんびはさっと低空を飛んで松ノ木から離れ海の方に行ってしまった

 

(10)梅雨の雨が本格的に降ってきた

 松ノ木の枝の上で雨に濡れてじっとしているぼうや

 自分の力で餌がとれるようになるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ

 その間お母さんとんびは毎日餌を運んでくるのだろうか

 がんばれとんびのぼうや

 がんばれとんびのぼうや(みんなで)

 旅立つときは今

 旅立つときは今(みんなで)

 

♪ どこまでもつづく 空の上を

  とんびはいつも 輪をかいている

  ピューピューうねる風

  ピューピューう空を舞う

  まるで空に落書きしているように

  ピューピューうねる風

  ピューピューう空を舞う

  まるで空に落書きしているように

  まるで空に落書きしているように